請求書の発行や受け取りをはじめとする請求業務は、企業が利益を得る上で不可欠な業務です。なくすことはできないものの、毎月定型的に発生する業務であり、負担に感じている企業も多いのではないでしょうか。
近年は請求業務を自社でやらずに、アウトソーシングして外部に任せるケースも増えています。
本記事では請求書のアウトソーシングについてのメリット・デメリット、業者の選定方法などをわかりやすく解説します。本記事を参考に業務改善の一つとしてアウトソーシングを導入するか検討してみてください。
企業間請求業務の負担にお悩みではありませんか?
請求書払いへの対応を始めるのは簡単なことではありません。
「運用が煩雑化している」「自社で対応できるか不安」といった悩みを持っている方は、請求代行の利用をご検討ください。
NP掛け払いを利用すれば、請求業務に悩まされることなく、売上拡大につながる業務に集中できます。
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アウトソーシングできる請求書関連業務
請求書のアウトソーシングとは、請求書に関わる業務のすべて、または一部を外部に任せることです。アウトソーシングできる業務について、以下3つの視点から解説します。
【売り手】請求書発行
まず自社がサービスや商品を提供する側の場合、請求書の発行や郵送が必須の業務になります。ただ請求書を発行・郵送するだけであれば、電子ソフトの活用や業務委託を採用すれば、問題なく業務が回る企業が多いでしょう。
しかし、請求書を発行する前後には、与信審査や督促など知識が必要かつ複雑な業務もあります。請求書の発行や郵送といったスポットの作業だけでなく、請求書の発行に紐づく一連の流れを委託したい場合は、企業間決済サービスが活用できます。
債権を企業間決済サービス会社に譲渡するため、請求書発行後の督促や未回収時の対応も企業間決済サービス会社が行います。部分的なシステム化や業務委託をしているものの、業務負担が課題になっている企業に最適なサービスです。
例えば、企業間決済サービス「NP掛け払い」を利用すると、請求書の発行から督促まで以下のように業務を丸投げできます。煩雑な事務作業から解放されることで、生産性の向上をサポートします。
近年はクラウド会計システムが充実しており、システムを活用すれば業務を削減することはできます。一方、目検での確認が一定量発生する入金消込や買い手側企業とのコミュニケーションが必要になる督促の負担を削減することは難しいのが現実です。
NP掛け払いなら請求業務を丸投げできるので、請求業務のストレスを削減し、コア業務への集中を実現できます。
請求代行については「請求代行のサービス内容と対応範囲、比較するべき7つの基準を徹底解説」をご覧ください。
【買い手側】請求書支払い
サービスや商品を購入する買い手側となった際は、請求書の受取からはじまり、支払いを済ませて保管するまでの業務対応が必要になります。
請求書支払いに関するアウトソーシングのイメージは次の通りです。
請求書支払いの一番の課題は請求書の受取であることが多いです。請求書を発行するのは取引している各企業からとなるため、発行形式(紙・PDF)や送付方法、送付時期はバラバラになります。
支払い管理システムで効率化を図ったとしても、請求書が紙の場合は受取と開封のため、会社に出社して処理するしかありません。
請求書支払いのアウトソーシングを活用すれば、請求書の受取先をアウトソーシング先に変更を行うだけで、請求書の開封からスキャン対応、電子帳簿保存法に対応した請求書の保管を行ってくれます。
アウトソーシング会社によって提供内容は異なりますが、ネットバンキングの支払いデータの作成も提供範囲となることがあります。買い手側としての取引が多い際は、活用することで大幅な業務改善が期待できます。
【全体】請求業務から会計処理
アウトソーシングの分類として、請求書発行や請求書支払いに限らず、会計処理を含んだ経理業務全般をアウトソーシングする方法もあります。
経理業務全般をアウトソーシングした場合のイメージは次の通りです。特定の業務をスポットでアウトソーシングすることもできますし、全体をアウトソーシングすることもできます。
全体の業務を一つのアウトソーシング会社に任せることで業務フローに一貫性を持たせることができます。ソフトによっては自社で使っている会計ソフトをそのまま活用してもらうことも可能なので、委託するにあたる情報の整理も最小限におさえることができます。
アウトソーシング会社としての豊富な知見を活かした業務効率化も期待できるため、特定の業務によらず全体的な生産性向上を求めている企業におすすめです。
請求書アウトソーシングのメリット
請求書の関連業務をアウトソーシングするには費用がかかりますが、日本全体で人材不足の傾向にある今、導入の検討を余儀なくされている企業も多いのではないでしょうか。
本章では、アウトソーシングすることによって得られるメリットを紹介します。
コア業務に集中できる
請求書をアウトソーシングすることにより、ルーティンワークとして必要だったノンコアな請求書処理の業務時間を、本来やるべき付加価値を生むコア業務に集中させることができます。
請求書処理は企業にとって重要な業務の1つですが、業務自体が売上のような付加価値を生むものではありません。ミスをしないことや定型的な業務を確実にこなすことが求められます。
事業規模が小さい場合、他の業務を主とする従業員が請求書関連の業務にリソースを割いているケースも多く見られ、コア業務への集中が妨げられてしまっています。
請求業務の効率化については「請求業務を効率化するためのステップを紹介|課題洗い出しから解決まで」をご覧ください。
情報が統一される
アウトソーシング先に請求書の処理を委託すれば、請求書が一か所に集約され、情報が統一されるようになります。問い合わせがあった際や支払いに関して不備が発見された際も、スムーズに確認できるようになるでしょう。
請求書の処理は担当する人数が多ければ多いほど、情報が分散してしまいます。特に営業担当者が請求書発行を行っていると、格納フォルダやファイル名など各自のルールで運用されてしまうことがあり、問い合わせがあった際など情報の確認が必要なときにすぐに照会することができなくなってしまいます。
請求書が見つからないことで放置され、大きな問題に発展してしまうリスクを防ぐことができます。
働き方改革を推進できる
請求書をアウトソーシングすれば、業務がペーパーレスになり、リモートワークなど働き方改革を推進できるようになります。
働き方改革を推進する上での障壁の一つが、請求書を紙で処理しなければいけないことです。紙で処理をする場合は、会社に出社して対応する必要があります。アウトソーシングの場合は、請求書の受取から発送まで全てアウトソーシング先で対応をしてくれるため、オンラインで業務を進めることができます。
オンラインでの業務対応が可能になれば、時間と場所を選ばずに働けるようになるため、従業員の満足度と企業価値の向上に大きな効果を得ることができるでしょう。
アウトソーシング先のノウハウを活用できる
アウトソーシングや企業間決済サービスを扱っている会社は、自社以外にもさまざまな企業の請求業務を担当しているため、業務をスムーズに遂行するための豊富なノウハウを持っています。ノウハウを活用して業務を行ってくれるため、自社で新たな法制度に対応したり、より効率的な業務フローを考えたりといった手間がなくなります。
特に、近年は電子帳簿法の改正やインボイス制度など、請求業務に関するさまざまな変更が発表されています。
自社で無理に対応してミスを起こしてしまうより、最初からアウトソーシングや企業間決済サービスを使ってしまったほうが、費用対効果としてメリットがあることもあるでしょう。
請求書アウトソーシングのデメリット
請求書のアウトソーシングは多くのメリットを受けられる一方で、あらかじめ理解しておかないといけないデメリット(注意点)もあります。デメリットもしっかり把握したうえで導入を検討するようにしましょう。
ノウハウが蓄積されない
請求書のアウトソーシングにより、請求書に関する作業をしなくてもよくなる一方で、請求書処理のノウハウが蓄積できなくなります。
半永久的にサービスを利用し続けるのであれば問題が起こることはないかもしれません。一方で、サービス提供会社がサービスの提供を中止したり、倒産したり、自社の経営状況的に継続が難しくなったりしたとき、自社で対応ができないリスクが生じます。
倒産やサービス打ち切りリスクがないか、スムーズなインハウスへの移行を支援してくれるかを確認しておくとよいでしょう。
柔軟な対応ができない場合がある
アウトソーシングは業務を社外に移すため、柔軟な対応ができないこともあります。
請求書を処理する仕組みや人員が社内にいれば、情報の伝達スピードやニュアンスが伝わりやすく柔軟な対応ができますが、アウトソーシングの場合は業務を標準化させるため、柔軟な対応がしづらくなります。
例えば、支払い直前で金額の修正や入金先の変更依頼があった場合に、アウトソーシングだと契約により、あらかじめ決められた期日で以降は受け付けてくれない場合があります。
あらかじめ柔軟な対応が必要な取引先を把握できるのであれば、柔軟な対応が不要な取引先の請求書対応だけアウトソーシングして運用することも必要です。
費用対効果が悪くなることがある
アウトソーシングは委託する内容や作業量によって、発生する費用が変わります。必要な業務だけに絞らず、場当たり的にアウトソーシングをしてしまうと自社で人員を確保して対応したほうが安くなる場合もあります。
枚数にもよりますが、請求書発行でシステムを利用する場合は1枚100円~200円、税理士事務所などに委託する場合は1枚1,000円が相場です。これに加えて請求書の発送やファイリングなど、必要なオプションを追加することで、コストは多く掛かります。
アウトソーシングを利用する際は、請求書の処理に現状どのくらいの人件費が発生しているのか、どこまでの業務を委託したいのか、整理したうえで進めると無駄コストが発生しなくなるでしょう。
ただし、アウトソーシングの効果を測るときはコスト上でのメリットを見るだけでなく、従業員の満足度や働き方の変化の観点からも評価しましょう。コストとしては自社で運用したほうが安くても、コア業務への集中のような定性的なメリットが生まれている可能性があります。
請求書のアウトソーシングができるサービス・会社の比較ポイント
請求書のアウトソーシングに対応している企業やサービスは数多く存在するため、選ぶ際に「どこが最も自社に合うだろうか」と悩む方も多いでしょう。
本章では自社に合ったアウトソーシング先を選ぶ際のポイントを解説します。
自社の業務フローやシステムと合うか
アウトソーシングを導入する際に大事なポイントのひとつとして、いかに現状のフローから負担なく切り替えまたは、連動させられるか確認することです。
請求業務のアウトソーシングを検討している企業の多くは、毎日の業務で忙しい状態でしょう。アウトソーシングへの切り替えに伴い、データの整備や新たなシステムの導入などが必要になると、担当者の対応が追いつかない可能性があります。
社内だけではなく取引先にも迷惑をかけてしまうことがあります。アウトソーシングや企業間決済サービスの検討時は、必ず導入開始までにどのような準備が必要か、確認しましょう。
セキュリティー対策が万全か
請求書の内容は企業取引の秘匿情報や、個人事業主の場合は個人情報が含まれているため、セキュリティー対策が万全なアウトソーシング先を選ぶ必要があります。アウトソーシング先によっては第三者に業務を再委託する場合があり、情報漏洩やセキュリティーリスクがどの程度あるのか事前に確認しておきましょう。
セキュリティー対策がされているか判断するポイントとして、以下の資格や基準を満たしているのか確認する方法もあります。
- ISMS認証・・・情報セキュリティを管理する仕組み
- Pマーク・・・個人情報保護マネジメントシステム
- SOCレポート・・・外部委託先の内部統制の状況を確認する為に使用される報告書
また、顧客事例として上場企業など高いセキュリティ基準が求められる企業が掲載されているかも一つの基準になります。
委託できる業務の範囲が適切か
アウトソーシングを活用する最大の目的は、業務を委託した上で「生産性を上げること」です。したがって、サービスを導入して「業務が楽になるか」ではなく、「生産性が上がるか」という観点を持つことが重要です。
例えば、今最も負担が重い作業である入金消込だったとき、入金消込を中心としてサービスを委託できる企業を探して導入してしまうと、そのあとの督促の負担はそのまま残ってしまうことがあります。
業務の全体を洗い出しながら、ノンコア業務とコア業務を分けた上で、対象業務がカバーされているか確認しましょう。
まとめ
請求書のアウトソーシングは、自社で対応しているノンコア業務から解放されて、コア業務に専念できるサービスです。クラウドシステムの利用だけでは、どうしても入金消込や督促などの業務は社内に残ってしまいます。
売り手企業側としては、企業間決済サービスを利用するのもよいでしょう。請求書の発行や消込、督促を社内で行う必要がなくなり、未回収リスクもなくなります。企業間決済サービス「NP掛け払い」を利用すれば、請求書発行の業務を全て任せられるだけではなく、未回収の請求分を100%保証してくれるため安心して利用できます。
請求書のアウトソーシングを利用する際は、現状の課題を棚卸しをして、部分最適ではなく業務フロー全体の効率化を進めるようにしましょう。